連載1「特別養護老人ホームこはく苑はこうして生まれ変わった」和泉逸平

サスケアリンク理事の和泉逸平氏による連載をスタートします!

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和泉さんは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「令和2年度ロボット介護機器開発・標準化事業」に採択され、株式会社エフトス様と共に自身が理事を務める特別養護老人ホームにて業務改善を行ってきました。
大変素晴らしい成果を出されていますが、そのプロセスは苦労の連続でした。
このプロセスは他の介護福祉事業者様にも役立てて頂けるのではないかと考えられ、私どものサイトで連載をして下さることになりました!
20回程度を考えておりますので、是非皆さんご一読下さい!

 

 

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第1章 問題点はどこにある

 

何かしなければとは思っても、行動に移すのは難しいものです。どんなことから取り組んだのかを振り返ります。

 

 

1.スタッフと利用者とコンプライアンス

 

事業所を継続するためには、当たり前のことですが、スタッフを揃え、利用者を獲得することです。

 

図1―1 事業継続の3要素

 

 

暗黙のルールに要注意

もう一点、コンプライアンスは重要です。法令はもちろんですが、明文化されていない社会的ルールにも気を使う必要があります。

 

一般的に介護業界は人材不足と言われており、誰でも働ける場所だと思われていますが、実際にはスタッフ間の連携が不可欠で、スキル以上に協調性が求められています。事業所内での暗黙のルールは意外と多く、誰が決めたのかも分からない謎ルールがスタッフを苦しめていることもあるようです。

 

眠っているデータを活用する

図1-2のグラフは、事業所内介護スタッフの介護スタッフの人件費と残業時間の推移(5年間分)です。このグラフは会計ソフトと給与ソフトから作成したものです。2018年12月に介護スタッフの大量離職(5名)があり、人材派遣により人員確保はできたものの人件費は増大していったことが分かります。

 

図1―2 残業時間の推移

 

どう入力しておくかが重要

図1-2のグラフは会計ソフトと給与ソフトから作成しましたと説明しました。しかしながら、介護スタッフだけのデータとして抽出するには、データの再入力が必要でした。

見たいデータが入力されていないと取り出すことはできないため、やりたいことを整理し、どうやったら連携できるかを事前に決めて、入力に手間をかけることが大切です。

図1―3 介護事業所の電子化と課題

 

2.取り組んだ結果、事業所は変わった

2020年1月から始めた改善活動により、以下のような成果を得ることができました。

表1-1 取り組みと成果

 

まだ、改善活動は途中です。生産性向上を目標にはしていますが、勤務時間を減らすことや人員を削減することが目的ではなく、必要な時間に必要なスタッフ配置を行うという視点から進めています。下図の解析を行いながらまず不足時間を無くすことから取り組みました。

図1-4 実施前の事前調査

 

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2022.03.31